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脳血管造影後におけるMRI拡散強調画像の無症候性虚血巣出現に関する検討

 脳血管造影(Cerebral angiography:CAG)における神経学的合併症の頻度は低いと報告されている.しかしながら,CAG後の頭部MRI拡散強調画像(diffusion-weighted imaging:DWI)にて新虚血巣を経験することがある.本研究の意義は,CAG後の症候性または無症候性のDWI新虚血巣の出現頻度を調べ,その関連因子を明らかにすることである.対象は,急性期脳梗塞および一過性脳虚血発作患者で,CAGの前後48時間以内に2回DWIを施行し得た連続56例.年齢,性別,脳卒中の既往,虚血性心疾患の既往,血管系危険因子(高血圧,糖尿病,高脂血症,心房細動,喫煙),入院時NIHSS score,脳梗塞の病型分類(small vessel occlusion,non-small vessel occlusion),抗血小板薬の服用,ワルファリンの服用,カテーテルのアプローチ方法(上腕動脈もしくは大腿動脈),造影剤の量,カテーテル操作時間,透視時間について前向きに検討した.CAG後の DWI新虚血巣の有無で陽性群と陰性群の2群に分けた.CAG後に新たな神経学的合併症は認めなかった.CAG後に無症候性のDWI新虚血巣は24例(42.9%)に認めた.年齢(陽性群平均69.8±11.3歳vs.陰性群61.9±11.3歳,p=0.043),女性(54%vs.28%,p=0.048),non-small vessel occlusion(100%vs.66%,p=0.009),大腿動脈アプローチ(63%vs.13%,p<0.001),カテーテル操作時間(63.1±21.6分vs.43.7±14.2分,p<0.001),透視時間(26.5±13.0分vs.14.9±5.9分,p<0.001)は2群間で有意差を認めた.陽性群と陰性群を区別する至適透視時間を,感度・特異度曲線を用いて解析したところ,17分であった(感度66.6%,特異度68.8%).多変量解析を行うと,17分を越える透視時間がCAG後のDWI新虚血巣における独立した危険因子であった(オッズ比9.355,95%信頼区間1.800-48.626,p=0.0078).脳虚血の出現を減少させるために,短時間で検査を行うよう注意を払わなければならない.(平成18年7月20日受理)
著者名
芝﨑 謙作
32
4
187-194

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