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Online edition:ISSN 2758-089X

ニワトリ胚の四肢形成における Wnt-Frizzled相互作用

 LRP-5とLRP-6とともに10種類のFrizzled(Fz)がWntのレセプターとして知られているが,リガンドとレセプターの関係はWntタンパク質が直接的な結合実験が困難なため,あまりわかっていない.ニワトリ肢芽で特定のパターンをもって発現するニワトリWnt-3a,Wnt-4,Wnt-5a,Wnt-6,Wnt-7a,Wnt-10a,Wnt-11のWntメンバーにC末端にHAのタグをつけ,ニワトリFz-4,Fz-10にはレセプターの細胞内にFLAGのタグをつけDF-1細胞で発現させた.DF-1細胞に単独もしくは共存下で導入したWnt-HAとFz-FLAGのコンストラクトを発現させ,直接結合するWnt-HAを調べるために,anti-FLAG抗体でレセプターの免疫沈降を行う前後でウエスタンブロッテッイングを行った.Wnt-HAが発現しているDF-1細胞の上清をFz-FLAGを発現させた細胞に加えた時,Fz-10に対してWnt-3a,Wnt-5a,Wnt-7aが,Fz-4に対してはWnt-5aが検出された.Fz-10ではWnt-6とWnt-10aに弱い結合がみられた.少量のWnt-7aはWnt-5aとの比較においてFz-10との結合効率はよく,Wnt-7aに対して高い親和性がみられた.Wnt-7aは時間的,空間的に肢芽においてFz-4ではなくFz-10と共に発現している.これらの結果は,四肢の形態形成におけるWntとFzの発現と機能的な関係を現している. (平成18年4月12日受理)
著者名
笹岡 俊輔
32
3
127-137
DOI
10.11482/2006/KMJ32(3)127-137,2006.pdf

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