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アゼルニジピンによる腎微小循環の変化と腎保護効果

 虚血による尿細管間質障害は,腎障害の重要な進展因子となる.尿細管間質の虚血は傍尿細管毛細血管(PTC)の血流低下によって惹起される.すなわち,腎障害の進展抑制には,PTC血流を保持することが重要と考えられる.新規に開発された長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(Calcium Channel Blocker:CCB)であるアゼルニジピンは進行性腎障害に対して有効であることが報告されている.しかし,その腎保護機序の詳細は明らかになっていない.本研究はPTC血流保持の観点から,新規CCBアゼルニジピンの腎保護効果について検討を行ったものである.まず急性期実験としてWKYラットにアンギオテンシンII(AII)30nM/分 10分間経静脈的に投与し,投与後の糸球体及びPTC血流をCCDビデオマイクロスコープを用いて観察し血流速度等を計測した.さらにアゼルニジピン投与の効果を検討した.AII(30nM/分.iv.)投与により血圧の上昇と,輸入・輸出細動脈の収縮及びPTCの血流低下を認めた.アゼルニジピン(0.1mg/kg)投与により,輸入細動脈の拡張のみならず,輸出細動脈の拡張を認めた.さらにAIIにより低下したPTC血流の回復を認めた.次に長期実験としてAII(500ng/kg/分)を14日間持続皮下投与し腎障害モデルを作成した.アゼルニジピン(30mg/kg/日)による腎保護効果を検討した.AII 2週間後,組織虚血マーカーpimonidazole陽性面積は増加し腎皮質部の広範な虚血が示された.PTC内腔面積を計測したところ,AII投与によりその減少を認めた.組織学的には皮質部尿細管の萎縮と間質繊維化を主体とする尿細管間質病変を認めた.アゼルニジピン投与により,腎皮質の虚血改善,PTC面積保持,尿細管間質障害の抑制を認めた.以上の結果よりアゼルニジピンは,輸入・輸出細動脈を拡張しPTC血流を保持することでAIIによる尿細管間質障害の進行を抑制することが明らかとなった. (平成16年10月19日受理)
著者名
藤本 荘八
30
2
111-122

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