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ハムスター膵・胆管合流胆道発癌モデルにおける化学予防の検討

 〔目的〕膵・胆管合流異常症に最も類似したモデルであるハムスター膵・胆管合流胆道発癌モデルを作成し,発癌物質であるN-nitrosobis (2-oxopropyl) amine (以下BOP)を投与後,発生する癌に対し,5種類の化学予防物質を投与し発癌抑制効果を検討した. 〔方法〕雌性7週齢Syrian golden hamsterに外科的処置を加えハムスター膵・胆管合流胆道発癌モデルを作成した.術後4週目より発癌物質BOPを10 mg/kg 週1回,6週間皮下注射した.その後通常飼育した無治療群(no therapy ; n =12),飲水に化学予防物質としてcimetidineを術後21週の実験終了まで投与した群(cimetidine ; n =13),同様にFOY-305投与群(FOY-305 ; n = 13), ranitidine投与群(ranitidine ; n = 9), etodolac投与群 (etodolac ; n =16), MGN-3投与群(MGN-3 ; n =8)をそれぞれ作製し病理組織学的に化学予防効果を検討した. 〔結果〕(1) etodolacは膵carcinomaと総病変数,肝外胆管atypical hyperplasia, 肝内胆管atypical hyperplasia およびcarcinoma,胆嚢atypical hyperplasia と胆嚢総病変数を抑制した. (2) cimetidineは膵hyperplasiaと総病変数,肝外胆管atypical hyperplasia と総病変数,胆嚢総病変数を抑制した. (3) ranitidineは膵hyperplasiaを抑制したがその他の病変において有意差を認めなかった.(4)FOY-305は,膵hyperplasiaと総病変数,肝外胆管atypical hyperplasiaと総病変数,肝内胆管atypical hyperplasia, 胆嚢atypical hyperplasiaと胆嚢総病変数を抑制した.(5)MGN-3投与群は胆嚢atypical hyperplasiaのみ抑制したが,肝内胆管hyperplasiaで病変数の増加傾向を示した. 〔結論〕これらの実験結果により,(1)COX-2選択的抗炎症作用を持つetodolacは本発癌モデルにおいても発癌予防効果があることが示された(2) cimetidineは同じhistamine type-2 receptor antagonist であるranitidineとの比較検討において,発癌予防効果はcimetidineのみ有するE-selectin阻害作用を介するものが主と考えられ,逆流する十二指腸液の減少は少ないものと推測された.(3)本発癌モデルは膵酵素の活性化が胆道上皮に与える影響が大きいことより, FOY-305におけるserine系protease inhibitorの膵酵素活性阻害作用が癌の発育進展に抑制的に作用したと考えられた.(4)これら発癌予防効果を有する3剤は経口摂取可能で副作用もみられなかったことより化学予防物質として有用であると考えられた.                    (平成14年9月27日受理)
著者名
竹尾 智行
28
4
257-268

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