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ブタ分離肝細胞の冷保存に関する基礎的検討

 肝再生医療の資源として正常ヒト肝細胞の確保が理想であるが,深刻なドナー不足の現状がある.この問題を解決するためには,限られた提供臓器をいかに有効利用するかがきわめて重要である.それには,肝細胞の効率的な分離と効果的な細胞の冷保存法の確立が必要である.外科的に切除したブタ肝からの肝細胞の分離は, collagenaseとdispaseを組み合わせることにより90%以上のviabilityを有する肝細胞を得る事が可能であった.さらに当該細胞を用いて8時間冷保存に耐えうるか否かについて各種保存液の比較検討を行った.冷保存液として,①University of Wisconsin solution (以下UW)液,②UW液にvitamin Cの誘導体である2-O- a -D-Glucopyranosyl-L-Ascorbic Acid (以下ascorbic acid-2 glucoside ; AA 2 G) 100 m g/mlを添加した保存液,③100% fetal bovine serum (以下,FBS),④Dulbecco's Modified Eagle's Medium (以下, DMEM)に10% FBSを入れた保存液の4種類を検討した.UW液を使用することで,有意に8時間冷保存ブタ肝細胞のviability, plating efficiency, アンモニア代謝能が維持された.さらに,UW液に強力な抗酸化剤であるvitamin C配糖体であるAA2Gを組み合わせることで更に効果的に冷保存肝細胞の機能を維持することができた.その理由として, AA2G添加UW液では活性型caspase-3の誘導が抑制され,細胞内ATP量が有意に保持されたためであると考えられる.当該結果から,UW液十AA2Gは冷保存に最も適した保存液であり,臨床応用への有効性が示唆された.                       (平成14年8月28日受理)
著者名
武居 道彦
28
3
199-208

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