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嚥下内視鏡検査による誤嚥評価 ―嚥下造影との比較―

 嚥下障害が疑われ経管栄養となっている脳血管障害患者105名に対して嚥下内視鏡検査(FEES)と嚥下造影(VF)を施行した. FEESの臨床的有用性を確認する目的で,VF上の誤嚥頻度とFEESによる嚥下咽頭期評価の結果を比較し,その関連性について重回帰分析を行った. 喉頭閉鎖運動異常,声帯運動の異常,喉頭粘膜の知覚異常, FEES上の誤嚥(喉頭内侵入),咽頭残留については,それぞれVF上誤嚥を認めた患者64名中60名(93.8%), 26名(40.6%), 56名(87.5%), 62名(96.9%), 59名(92.2%)に認められた.一方,VF上誤嚥を認めなかった患者41名ではそれぞれ3名(7.3%), 20名(48.8%), 1名(2.4%),8名(19.5%), 9名(22.0%)であった.VF上の誤嚥と高い相関がある項目は,喉頭閉鎖運動異常,喉頭知覚低下, FEES上の誤嚥,咽頭残留であった.重回帰分析の結果では,VF上の誤嚥とFEESの5項目の関係については,有意な相関を声帯運動の異常を除く残り4項目で得られた. FEESの各嚥下咽頭期評価を変数として重回帰分析を行った.各変数への点数配分をスコアーとして,正常は1,異常は2として入力した.その結果,重回帰式は,「VF所見スコアー」=0.297+0.395×「喉頭閉鎖運動スコアー」-0.113×「声帯運動スコアー」+0.411×「喉頭知覚スコアー」+0.229×「誤嚥スコアー」-0.478×「咽頭残留スコアー」となった.得られた重回帰式の自由度修正済み重相関係数の二乗(R2)が0.819と高いことから, FEES上のこれらの所見を詳しく分析することによってVF上の誤嚥を予測できるものと考える。FEESはベッドサイドでも施行可能で,直視下で安全に咽頭喉頭を観察できる利点もあり,今後の評価法として利用価値が高い.                               (平成13年10月22日受理)
著者名
石井 雅之
27
4
323-330

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