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福岡県春日市在住の男性にみられた裂頭条虫ストロビラの形態について

 福岡県春日市在住の33歳男性(寿司職人)にみられた裂頭条虫寄生の1症例と虫体スト囗ビラの形態について報告した.この患者は,平成10年頃から糞便中に条虫様の短い片節を頻繁に自然排出していたが,平成12年6月6日にプラジカンテルによる駆虫後,頭節を備えた裂頭条虫の成熟スト囗ビラ(長さ340 cm, 最大幅8.0 mm) 1条を排出した.この条虫は次のような点から, Rausch and Hilliard(1970)による広節裂頭条虫Diphyllobothriumlatum (Linnaeus, 1758) Lu he, 1910の形態的特徴に一致する虫体と思われた.即ち,1)頭節は棍棒状で長径1.72 mm, 背腹の高さ0.55 mmである.2)片節は縦径<横径を呈し,縦径平均1.55 mm, 横径平均7.7mm縦径:横径比は1:5)で,厚さ約0.7mmである.3)生殖孔は片節前縁から片節縦径値の約1/5後方に開口し,生殖孔周囲に著明な乳頭が認められる.4)子宮ループの数は5~6で側方に向ってさほど伸展してない.5)子宮ループの最前端は陰茎嚢の前縁を越えている.6)精巣は一層に配列し,前後の各片節の精巣との境界に隙間がある.7)陰茎嚢は洋梨形で長径平均660μm,短径平均360μmで,片節の前後軸に対してほぼ水平位をとる.8)虫卵は楕円球形で無蓋端側に小突起を有し,長径平均60.2μm,短径平均41 .4 μm,卵殻の厚さ平均1.5μ.mで,卵殻表面には点刻を認めない.症例の患者は,職業上各種魚介類の刺身を食べており,この条虫の感染源については特定できなかった.最近, D. latumおよびその近縁種の中間宿主であるベニマスrainbow trout, oncorhynchus mykiss(チリ産およびノルウェー産)が我が国に輸入されている.従って,本邦における裂頭条虫類のヒト寄生例の中には依然としてDlatumやその近縁種の感染者が見つかる可能性があると思われる.(平成13年9月26日受理)
著者名
初鹿 了,他
27
4
263-273

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