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ラット局所脳虚血モデルを用いた虚血早期の神経型一酸化窒素合成酵素の動態に関する研究

 脳虚血早期の神経細胞障害の原因の一つとなる神経型一酸化窒素合成酵素(neuronalnitric oxide synthase ; 以下nNOSと略す)について,脳内における虚血部位とnNOSの発現部位に関して検討した.その結果, nNOS messenger RNA (以下mRNAと略す)は虚血負荷によってその陽性細胞の増加を認めず,非虚血側と比較しても変化が認められなかった.しかし, nNOS自体は虚血中心部では虚血負荷1時間後から,虚血辺緑部では4時間後からその陽性細胞が増加することが明らかとなった.また発現したnNOSの活性を調べるため,虚血側内頚静脈より血液を採取しNOの代謝産物であるNo2-, No3-を測定したところ,虚血2時間後から有意な増加が認められ, nNOSの選択的阻害物質である7-nitroindazole (以下7-NIと略す)投与によりその増加が抑制された.これらの結果からnNOS発現は虚血により促進され,主にその調節はmRNAレベルではなく翻訳の過程と考えられる.発現部位は虚血時間の延長とともに虚血中心部から辺縁部へと発現領域が広がり,発現したnNOSが酵素活性を持っていると考えられる.したがってnNOS由来のNOによる神経細胞障害は時間経過とともに,虚血中心部から辺縁部へと広がっていくことが示された.                        (平成13年9月3日受理)
著者名
山根 一和
27
3
209-218

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