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Online edition:ISSN 2758-089X

髄核の末梢神経に対する侵害刺激作用 ―脊髄後角における c-fos 陽性細胞の免疫組織化学的検討―

 腰椎椎間板ヘルニアに発生する根性坐骨神経痛の病因の一つとして,椎間板を構成する髄核自体が神経根へ組織学的変化,炎症反応を引き起こすことが報告されている.今回,髄核が後根神経節より遠位の末梢神経に及ぼす影響を検討した.実験はラットを用い,末梢神経の坐骨神経上膜周囲に他のラット尾部から採取した椎間板成分の同種髄核を注入し,中枢神経の脊髄後角に痛みとして認知されうるか否かを評価した.動物実験上で捉えにくい痛みを客観的に評価するために,疼痛受容の指標として用いられているc-fos陽性細胞の発現を免疫組織化学染色した.その結果,超音波破砕機でゲル状にした髄核を注入したものでは,坐骨神経上膜周囲に炎症細胞の浸潤がみられ,またL4髄節レベル後角の内側Ⅲ, Ⅳ層にc-fos陽性細胞の発現が観察された. c-fos陽性細胞の発現は,中枢神経細胞の活動性の亢進を示しており,疼痛との関連性を示唆した.   (平成12年10月27日受理)
著者名
門 知生
27
1
59-65
DOI
10.11482/KMJ27(1)059-065.2001.pdf

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