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新しい頚筋力測定装置の開発とその応用 ―健康成人の頚筋力評価―

 整形外科領域において,頚の筋力測定は,徒手筋力テストによる6段階評価で行われることがほとんどであり,計測機器を用いた客観的評価は一般的に行われていない.しかし頚筋力の評価は頚椎疾患手術後の治療判定や回復程度を知る一助となり得,また頚椎疾患予防の手がかりとなる可能性もあり,正確に測定することは意義あることと考える.そこで私は,まず,頚筋力測定装置を開発し,更に,それを用いて健常者における頚筋力を測定した.この装置は,ひずみゲージによる徒手筋力測定器GT-10(OG技研)を応用した装置で,座位で頚前後屈中間位に頭部を固定し,測定器を前額部及び後頭部に設置し,頚前屈及び後屈の等尺性筋力を測定する装置である. 対象は男性120人(年齢18~29歳,平均23.1±2.3歳),女性127人(年齢18~27歳,平均21.7±1.7歳)の計247人の健康成人とした.頚筋力測定は座位で行った.被検者を背もたれのある椅子に安全ベルトで固定し,頚は基本肢位のまま徒手筋力測定器(GT-10)2器で頭部を前後から固定した後,力一杯前屈あるいは後屈し,表示された最大値をそれぞれの頚筋力として採用した. 頚前屈筋力の平均値は,男女ぞれぞれ,平均151.0±40.2 N, 64.7±16.7Nで,頚後屈筋力の平均値は,同じく246.1±46.1 N, 129.4±27.5 Nであった.頚筋力測定器は測定前と測定中の2度キャリブレーションを行い,測定精度は196.0 N未満では±4.9 N.196.0N以上ではその数値の±3%であった.又,男性85人,女性53人に対して,1週間後に同様の測定を行い再現性を確認し,この測定器および測定方法は有用であると考えられた.測定と同時に身長,体重,握力,背筋力,頚周囲径,スポーツ歴についても測定,調査し,頚筋力との関係を分析した.女性ではいずれにおいても有意な相関は認められなかったが,男性では,頚筋力と体重,頚周囲径において弱い相関関係が認められた.また,スポーツ歴の有無と頚筋力との関係では,一元配置分散分析の結果,男女とも,頚後屈筋力においてスポーツ歴の有無で有意差が認められた.        (平成12年10月16日)
著者名
中條 武秀
26
4
237-247

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