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シスプラチンの選択的動注法における腫瘍組織内濃度に関する基礎的研究 ―腫瘍と他臓器における組織内白金濃度の静注法との比較検討―

 頭頸部癌および子宮癌に対し,シスプラチン(CDDP)の超選択的動注法は腫瘍縮小効果が著明であるとの臨床報告を散見するが,その至適投与量および投与速度に関する検討は少ない.今回,家兎の右下腿にVX2腫瘍を移植し,腫瘍に対するCDDPの選択的動注法(以下動注法)と静注法における血漿中白金動態と腫瘍および他の正常組織内白金濃度を測定し,比較検討した. 3 kg雌家兎を56羽使用し,動注法では右伏在動脈にカテーテルを留置し,大腿動脈よりCDDP 0.83 mg/kg と1.67 mg/kg を15分間あるいは30分間で注入した.血中濃度は,血漿中の総白金と限外濾過された遊離白金を投与後0, 5, 10, 15,30, 60分に測定し,腫瘍およびその周囲筋,肺,肝臓,腎臓,子宮,舌の組織内濃度は投与直後と投与60分後で測定した.組織内白金濃度は,腎臓で最も高値を示し,舌と肺の白金濃度は静脈投与で有意に高値であった.腫瘍内白金のAUC (area under the curve)は動注法で静注の約1.4倍であった.腫瘍内白金濃度を高値に保ちつつ,腎臓内白金濃度を低値とする投与法は, CDDP 0. 83 mg/kg を15分間で動注する方法であるとの結論を得た.                                (平成10年10月24日受理)
著者名
森 俊博
24
4
211-219

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