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Online edition:ISSN 2758-089X

マウス新生子腎臓における腎小体の発達とアポトーシス―電子顕微鏡観察―

 マウス新生子腎臓を電子顕微鏡で観察し,腎小体の形成過程で出現する細胞死とアポトーシスの関連,さらに細胞死の局在と由来を明らかにした.新生マウス腎臓皮質には造腎帽子から完成腎小体まで種々の発達段階の腎小胞が層状に配列する.腎胞内で腎小体を構成する細胞のうち死に至る細胞は,ボーマン嚢腔が明瞭となるS宇型腎胞から未熟腎小体に出現する.S字型腎胞において細胞死はボーマン嚢細胞群にみられ,足細胞とボーマン嚢外壁細胞のいずれの層にも死細胞の取り込みに由来する大型二次ライソゾームが認められる.死細胞は核染色質が核膜にそって高度に凝集後,小型化,断片化されて隣接する細胞に貪食される.この死細胞は超微形態レベルでアポトーシスと判定され,足細胞とボウマン嚢外壁細胞との境界部,すなわちボウマン嚢上皮細胞移行部で多く認められた.未熟腎小体では死細胞がボーマン嚢腔にも少数出現しており,死細胞は明調大型の液胞や脂肪滴を含有し,超微形態的特徴からボウマン嚢外壁細胞由来と考えられる.プログラム細胞死は腎小体の形成と関連し,ボーマン嚢細胞群の分化・成熟ならびにボウマン嚢腔の発達と関連して出現する.                     (平成10年9月22日受理)
著者名
進藤 彰久
24
3
141-148
DOI
10.11482/KMJ24(3)141-148.1998.pdf

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