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砂ネズミにおける局所脳血流量,ペンゾジアゼピン受容体と神経細胞の分布密度の一過性前脳虚血による変化

 脳内に存在する多くの受容体が虚血性の侵襲に対してどのような反応を示すかはあまり知られていない.また局所脳血流量(regional cerebral blood flow : rCBF),抑制性の神経伝達物質受容体であるベンゾジアゼピン受容体(benzodiazepine receptor : BZR),神経細胞などの分布について比較検討した報告も少ない.さらに,一過性前脳虚血後のrCBF,BZRの分布を経時的に比較した報告もほとんどない. rCBF,BZRと神経細胞の分布密度の関係,また一過性前脳虚血後の変化を理解するために,まず正常成熟砂ネズミのrCBF, BZRと神経細胞の分布の相関関係について核医学的方法を用いて,さらには組織学的方法も用いて検討した.核医学的方法としては放射性リガンドN-isopropyl-p-〔123 Ⅰ 〕iodoamphetamine(123 Ⅰ-IMP)と125 Ⅰ -iomazenil (125Ⅰ-IMZ)を用いてautoradiography(ARG)法によりrCBFとBZRを半定量的に小脳に対する比率として求めた.組織学的方法としてはHematoxylin-Eosin染色(HE染色)を行い, ARGと同じ領域の神経細胞数を計測した.虚血実験では一過性前脳虚血モデルを作製し,遅発性神経細胞死を生じる海馬CA1領域と神経細胞に変化のみられない領域について比較検討を行った. その結果,rCBFは視床と海馬歯状回以外の細胞密度の高い領域で高値を示したが,一定の関係を認めなかった. BZRへの集積率と神経細胞密度の間にも一定の関係は認めず,それぞれの領域の神経細胞ごとに, BZRの分布に差があることが示唆された.また海馬のCA1領域にrCBFの一過性の上昇と錐体細胞の脱落がみられたが,BZRの分布に明らかな減少を認めなかった.このことは,急性期におけるBZRへの放射性リガンドの集積像は,必ずしも神経細胞の生存を反映するものではないと思われた.    (平成9年10月31日受理)
著者名
仲村 宏毅
23
3
175-184

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