h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

頸部インピーダンス波形の測定による嚥下機能評価

 嚥下機能の評価法としては,誤嚥の評価が出来る点で嚥下ビデオレントゲン検査(Videofluoroscopy以下VF検査と略す)が現在最も有効な方法だが,欠点として放射線被曝が挙げられる.著者は嚥下評価の方法として危険性が少なく簡便な頸部インピーダンス検査に着目した.その実用性を調査するために,本研究ではVF検査を同時に測定して嚥下機能の評価を試みた. 舌,喉頭の動きなど随意運動が及ぼす影響,食塊の量,性状の影響,また嚥下障害のない60歳以上の高齢者と健康若年者を対象とした加齢による影響を検討した,VF検査は座位で行い,液体及び半固形物としてゼリーを嚥下させた.インピーダンス測定器は独自に製作したものを使用し,嚥下前にインピーダンスレベルを測定した.嚥下時のインピーダンス波形とVF画像を8mmビデオで同時に記録し,後に咽頭期の波形を中心に解析した. 咽頭期のインピーダンス波形は,舌運動に影響されないのに対して,喉頭の動きを反映していた.VF検査での咽頭通過時間は高齢者群で有意に延長していた.若年者で咽頭期のインピーダンス波形の相は1~2相だが,高齢者では多相性となる傾向にあった. 頸部電気インピーダンス測定法は,嚥下時の咽喉頭領域の運動を大まかに把握できる点で意味があり,また測定が容易で非侵襲的である.これらの特性を活かし,嚥下の臨床評価の実用性をさらに検討したい.               (平成9年10月28日受理)
著者名
関 八洲彦
23
3
165-173
DOI
10.11482/KMJ23(3)165-173.1997.pdf

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