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Online edition:ISSN 2758-089X

看護職員の仕事に対する意識と燃えつき症候群との関連

 【背景】看護職者の仕事上の情緒的ストレスにどのような職務要因が関連するのかについては未だ十分解明されていない.そこで,看護職者の仕事に対する意識と個人的心理的背景の両面における種々の因子がメンタルヘルスや燃えつきにどのようにかかわり合っているのかについて調べた. 【方法】1994年の10月~11月の1ヵ月間に病院に勤務する看護職者1,190名に対して無記名式質問表を郵送した.調査内容は性,年齢,勤務場所,勤務体制等,仕事に対する意識(23項目),Maslach Burnout Inventory, 個人的心理的背景,およびメンタルヘルスの状態である. 【結果】有効回答者1,002名(84.2%)について分析したところ,看護職者の仕事の繁忙さや仕事上での疎外感は情緒的疲弊と関連があった.また,仕事への適合性や成功体験は年齢とともに上昇し,仕事の熟練度の高い者は燃えつきになることが少なく,24歳以下の構成割合が30%以上を占める大規模な施設でBurnout得点が高かった.精神面の不健康群は仕事に対する意識が否定的であった.心理的背景を知るために用いたエゴグラムでは看護職者の適性として求められる自我得点が不健康群で低かった. 【結論】今回のデータから次のことが言える.年齢の上昇とともに看護職者の仕事に対する意識は前向きになり,看護職者の仕事の熟練度の高さは燃えつきを防ぐ,大規模な施設の24歳以下の看護職者の燃えつきは高い.仕事の繁忙さや仕事上での疎外感は燃えつきの初期の要因になる.精神的に健康な看護職者は仕事に対する意識や適性が高くなり,燃えつきを起こしにくいと考える.                (平成9年10月28日受理)
著者名
太湯 好子
23
3
143-154
DOI
10.11482/KMJ23(3)143-154.1997.pdf

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