h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

放射線・化学療法・温熱療法で寛解が得られた頭頸部原発平滑筋肉腫の1例

 頭頸部原発の稀な平滑筋肉腫を経験したので,文献的考察を交えて報告する. 症例は51歳女性で,右頸部及び上腕部の疼痛を主訴に来院した.諸検査の結果,右上頸部から頭蓋底に及ぶ腫瘤が発見され,病理学的に平滑筋肉腫と診断された. 当初は外科的治療が検討されたが, MRI検査で脊柱管内への広範な浸潤が指摘されたため手術不能と診断され,放射線治療を軸とする複合療法(放治,動注,温熱療法)で治療された. 治療の結果,腫瘍は当初の腫瘍容積の45%にまで縮小し,腫瘍の縮小に伴い疼痛を初めとする症状の緩解が得られた.現在治療後2年7ヵ月が経過しているが,腫瘍は治療終了時の大きさにとどまり,形態や画像診断上の特徴にも変化なく,遠隔転移も見られない. 患者はQOL上も問題なく主婦として支障なく日常生活を営んでいる.                               (平成9年6月9日受理)
著者名
田村 博文,他
23
2
113-119
DOI
10.11482/KMJ23(2)113-119.1997.pdf

b_download