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Online edition:ISSN 2758-089X

臨床応用を目的とした放射線増感作用薬剤の基礎的検討

 すでに他の薬効で安全性が確認され,臨床に使用されており,放射線増感効果が報告されているアシクロビル,インドメタシン,アロプリノール,リボフラビンの4剤について,実験腫瘍に対する放射線増感効果(その薬剤自身には細胞致死効果はないが,放射線と共に用いられた時,放射線の細胞致死効果を増強すること)と骨髄障害や皮膚反応を指標とした正常組織に対する障害作用の影響の有無を調べるため,その両面から基礎的に検討を行った.シリアンゴールデンハムスターに移植したグリーンズメラノーマを用いた実験で,上記の4剤のうち,照射前30分前後に投与されたインドメタシンが対照との比較で有意に増感効果を示した(10Gy照射群p<0.05).しかし骨髄に,対しては有意な増感効果を認めなかった.また皮膚反応については15Gy照射群では有意差を認めなかったが(p=0.67),10Gy照射群で有意差を認めた(p<0.05).ただし,皮膚反応(発赤)は軽度なものであり,許容可能な程度であった.インドメタシンは既に臨床において抗炎症剤として使用されており,放射線増感剤として放射線治療に併用され得る可能性が示唆された.                               (平成9年9月5日受理)
著者名
田村 博文
23
2
99-112
DOI
10.11482/KMJ23(2)099-112.1997.pdf

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