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Online edition:ISSN 2758-089X

パラオ共和国の医療状況

 1993年11月12日に独立したばかりのパラオ共和国はミクロネシアの一部で,西カイロ諸島の最西にあり,大小様々な約200余りの島から成っている.最近同国の医療状況を視察できる機会が得られたので報告する.独立したとはいえ発展途上にあり,医療器材,薬などが不足した状態である.現在の人口は約18,000人で17人の医師,約150人の看護婦が医療に従事し,数的には不足していないと言えるが,専門医,専門の看護婦は不足している.病理診断は自国ではできずハワイ大学に送り診断を行っている.国立病院では厚生大臣,院長の推薦により医師免許を発行していただき,約26人の呼吸器疾患患者を診察した.約21人は気管支喘息の病態を持っていたが,肺機能検査の設備はなく確定診断はできなかった.日本と比較して癩,淋病,アメーバ感染症,A型肝炎などがこの国では多いようである.また, 1988年に集中してデング熱が発症していた.しかし十分な検査,診断がなされていない事もあり,疾患の詳細は不明と言えるであろう.今後この国の開発は如何に自然を保存しながら行うかが重要な問題である.パラオ共和国の医療状況を中心に報告したい.                               (平成9年3月21日受理)
著者名
中島 正光,他
23
1
51-57
DOI
10.11482/KMJ23(1)051-057.1997.pdf

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