h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

良性病変と鑑別が困難であった単房性嚢胞状色素嫌性腎癌の1例

 画像上,良性病変との鑑別が困難であった嚢胞状腎細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は37歳女性で,腹部超音波検査で左腎腫瘤を指摘され,放射線科へ精査目的で紹介された.CTでは内腔に隔壁を有する嚢胞状腫瘤として描出され,その被膜壁の厚さは不均等で一部に造影効果を認めた. MRIで壁の造影効果は不明瞭で,血管造影ではhypovas-cular tumorであり,動脈は腫瘤により圧排され,一部に広狭不整も認められた.画像からは良性,悪性の鑑別が困難であったため,治療は手術が選択された.病理診断では色素嫌性細胞からなり,著明な壊死性嚢胞化を伴った単房性嚢胞状腎細胞癌であった.腎の嚢胞性腫瘤で,被膜壁の不均等な肥厚や造影効果のある部位が存在する場合,腎細胞癌を考慮すべきと考えた.                      (平成9年4月19日受理)
著者名
山下 武則,他
23
1
47-50
DOI
10.11482/KMJ23(1)047-050.1997.pdf

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