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Online edition:ISSN 2758-089X

珪酸化合物により活性化されたリンパ球におけるアポトーシスの誘導について

 著者の所属する教室では,作業関連物質に起因する自己免疫疾患の発症機序について,特に珪酸化合物を中心に解析を行ってきたが,既にその発症機序に珪酸化合物のスーパー抗原作用が関係している事を報告してきている,著者は今回の実験では,珪酸化合物のーつであるクリソタイルにより活性化されたリンパ球におけるアポトーシスの誘導について検討した.まず,ヒト末梢血単核細胞を分離,クリソタイル繊維を添加,培養し,培養後の細胞の形態の観察やTUNEL (TdT-mediated dUTP-biotin nick end labeling)法によるアポトーシスの定量的解析を単核細胞のサブセットについて行った.その結果,リンパ球,特にクリソタイルにより活性化を受けるCD4陽性細胞にアポトーシスが誘導されている事が証明された.またFas陽性細胞におけるアポトーシスの誘導の経時的変化の解析より,このアポトーシス誘導にFas分子が関与している可能性が示唆された.これらの結果からアポトーシス誘導が活性化を受けたクローンの除去に働いている可能性が示唆される.                                (平成9年4月2日受理)
著者名
愛甲 隆昭
23
1
19-26
DOI
10.11482/KMJ23(1)019-026.1997.pdf

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