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柿の種子による腸閉塞の1例

 症例は80歳代女性.40年前に子宮肉腫と診断され,子宮摘出術と放射線療法を施行された.2年前に腸閉塞のため他院にて保存的加療を施行され軽快した.200X 年9月に頻回の嘔吐が出現したため当院救急外来を受診し,腹部超音波検査(US)で骨盤部の小腸内に半類円形の平滑な境界エコーとそれより直ちに移行する音響陰影を認めた.腹部CT でも同様の位置にhigh density の構造物を認めた.異物による腸閉塞と診断し,イレウス管を挿入した.腸管の減圧に成功したが,食事を開始した翌日に再び腸閉塞の症状が出現した.再度のUS とCT では異物の腸管内での移動は乏しいと思われた.異物の自然排出は困難と考え開腹術を行った.放射線療法の晩期障害と考えられる回腸全体の漿膜の白色調変化と,腸管の軽度硬化と数か所の狭小化を認めた.回腸末端より90cm の部位に固い異物を触れたが同部での縫合リスクは高いと考え,用手的に異物を口側に移動させた後に小腸を縦切開し,異物を摘出した.異物は柿の種であった.US による詳細な観察は種子による腸閉塞の診断および手術の時期判定に有用であった.(平成24年8月29日受理)
著者名
神崎 智子,他
38
4
227-233

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