h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

LDLレセプター解析により診断された家族性高コレステロール血症の2例

最近,未梢血リンパ球を用いたLDL-レセプター(LDL-R)活性の新しい測定法が開発された.この方法を用いて診断した家族性高コレステロール血症(FH)の2例を報告する.症例1 (21才,男)は1995年5月,高コレステロール血症のため当院に紹介された.アキレス腱の軽度の肥厚以外,身体所見にはFHに特徴的なものはなかった.血清総コレステロール(TC),LDL-コレステロール(LDL-C),HDL-コレステロール(HDL-C)は,それぞれ360, 287, 50mg/dl,高脂血症の型はIla型であった.本例のLDL-R活性は健常コントロールの47%であった.症例2 (73才,男)は,約20年前高コレステロール血症を指摘され,投薬加療を受けてきた.身体所見では,両アキレス腱の明瞭な肥大がある.血清TC, LDL-C, HDL―Cはそれぞれ347, 288, 45mg/dl,高脂血症の型はIla型, LDL-R活性は34%であった.著者らの2例はLDL-R活性が著しく低く,このことはFHの診断を強く示唆する(服部浩明ら, Lab Clin Prac, 13 : 45-49, 1995). FHのLDL-R遺伝子変異は多様なものがある.症例1ではE119k変異が証明できたが,症例2はこれ以外の変異と考えられた.(平成8年8月5日採用)
著者名
尾山 秀樹,他
22
2
115-118
DOI
10.11482/KMJ22(2)115-118.1996.pdf

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