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Wagner 症候群に合併した裂孔原性網膜剥離の治療選択

 Wagner 症候群は空虚な硝子体と膜様硝子体混濁,硝子体索状物,進行性の網脈絡膜萎縮や中等度近視などを特徴とする疾患であり,同様の眼所見を有する硝子体網膜変性疾患と異なり全身の異常は伴わない.一般的に常染色体優性遺伝にて発現する.若年時より高率に裂孔原性網膜剥離を合併し,しばしば術後予後不良の事がある.症例は19歳男性で主訴は両眼の飛蚊症であり,初診の3か月後に鋸状縁離断を伴う裂孔原性網膜剥離を発症した.この症例では家族歴は認められなかった.しかし,臨床所見よりWagner 症候群と診断し,強い硝子体牽引を伴った網膜剥離に対し輪状締結術を併施した硝子体手術を施行した.術中復位後,術後再発は認められていない.通常,後部硝子体剥離や黄斑部網膜剥離を伴わない若年者の裂孔原性網膜剥離では,硝子体のタンポナーデ効果を利用して強膜内陥術や輪状締結術を施行する.しかし,この症例の様に硝子体皮質が高度に液化し,硝子体基底部における硝子体牽引が強い場合,輪状締結術を併施した硝子体手術がより効果的であり,これによって硝子体牽引を軽減し裂孔原性網膜剥離の完全復位および再発防止をする事ができた.(平成24年6月27日受理)
著者名
川島 裕子,他
38
4
201-204

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