h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

培養心筋細胞の電気的活動に対するdinitrophenolとcyanideの作用

ニワトリ胚(12日~14日齢)より得た心室筋を3日~12日間培養し,心室筋細胞の電気的活動に対する代謝阻害剤の作用を検討した.培養心筋細胞は,直径50~300μmの集団を作って自発拍動を繰り返しており,自発性と電気的性質との両面に対する代謝阻害の影響を明らかにすることが可能である. dinitrophenolおよびcyanideは,自発性活動の頻度を増加する.しかし,正常Tyrode液において高い頻度の自発性活動を持つ細胞に対しては,反対に自発性活動の頻度を減少する.自発活動の頻度が増加するとき,拡張期の細胞内電位は約20mV減少し,ペースメーカ電位の勾配が急峻になる.活動電位の立ち上がり速度は減少し,オーバーシュートは低下し,特に,その持続時間が短縮する.プラトー相は低下し遂には消失する.これらの変化をもたらす原因としては,代謝阻害剤によってNa+-K+能動輸送が抑制され,細胞内のK+の喪失およびNa+の蓄積によること, Ca2+能動輸送の抑制による細胞内Ca2+濃度の上昇が関与していること,また,細胞内ATP濃度の減少することなどが考察された.                   (平成7年9月28日採用)
著者名
曲 瑞瑤,他
21
2
61-69
DOI
10.11482/KMJ21(2)61-69.1995.pdf

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