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Online edition:ISSN 2758-089X

Streptococcus milleri による膿胸の1例一血清抗体価測定の意義一

症例は70歳,男性.3 8℃ 台の発熱および右胸部痛が出現し,平成5年2月12日に当科に入院した.胸部X線写真で右側に胸水貯留を認め,採取した胸水の性状は浸出性で白血球数34900/μ1,好中球79%の所見から膿胸と診断した.胸水培養では嫌気性菌は分離されなかったが, Streptococcus milleri (S.milleri)が検出された。その後S. milleri に対する血清抗体価の測定を琉球大学第一内科に依頼し,“S.。xilleri group” のうちS.anginosusの抗体価が×512と上昇していることが判明した.Smitilleriは口腔内常在菌であるViridans streptococciの1グループに属しS.anginosus, S. constellatusおよびS.intermediusの3菌種の総称で,特に化膿性疾患の原因菌になり得るとして最近注目されるようになった. S. milleriが多菌量分離される感染症では,血清抗体菌が有意に上昇しているといわれており,自験例ではS.angiosusに対して高値を呈したことから,同菌を原因菌と考えた.膿胸,肺化膿症では胸水および喀痰の細菌学的検査で菌が検出される頻度は高くはなく,原因菌が不明の際にはS.milleriを考慮して血清抗体価の測定が診断に有用であると考えられた.            (平成6年2月5日採用)
著者名
肥後 敦子,他
20
1
35-40
DOI
10.11482/KMJ20(1)35-40.1994.pdf

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