h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

CI- free solution の蝸牛電気現象に及ぼす作用

Endocochlear DC potential (EP)およびCochlear microphonics (CM)の形成における陰イオンの影響を検討するために,外リンパ腔をCI- free solution で潅流した.NaClのCIがmethanesulfonateによって置換されたCI- free solution を灌流するとき,EPは75.0±3.56 mVから55.0±5.63 mVまで低下した.同時に測定したCMもEPと同様の低下を示した. CI- free solutionによってEP, CMが低下した後,標準人工外リンパ液にて再灌流を行ったが, EP, CMの回復は認められず, CI- free solutionによる作用は非可逆性と考えられた.本実験におけるEP, CMの低下は,外リンパ液中のCI-を減少させることによって血管条辺縁細胞のbasolateral membrane に存在するであろうと考えられるNa-K-2Cl協同輸送が減少し,辺縁細胞の細胞内Na+濃度が低下した結果, EPを維持しているNa+-K+ポンプの活性が低下したものと判断された.(平成6年2月14日採用)
著者名
吉弘 剛,他
20
2
61-66
DOI
10.11482/KMJ20(2)61-66.1994.pdf

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