h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

蝸牛内直流電位と蝸牛マイクロフォン電位に対するCa2+ channel agonistおよびantagonistsの効果

Ca2+ channel agonistであるBayK-8644とCa2+ channel blockerであるニフェジピン,ベラパミル,ディルティアゼムおよびフルナリジンのEndocochlear DC potential(EP),Cochlear microphonics (CM)に対する作用を検討した.ニフェジピン30μg/mlの外リンパ腔潅流により低下したEP, CMに対し同濃度のBayK-8644を再潅流した場合,EPの低下は抑制されるか,または部分的に回復を認め,CMの低下もまた抑制され,数%の回復を示した例も認めた.これより血管条辺縁細胞および有毛細胞のCa2+チャンネルはCa2+拮抗剤による抑制に対して可逆性を有することが確認された.また, Ca2+拮抗剤潅流後にanoxia負荷を行ったが,EPのnegative component は消失もしくは著明に減弱した.低濃度の灌流ではEPが正常の場合でもCMは減弱し,コルチ器のCa2+拮抗剤による抑制は血管条以上に高度であった.血管条辺縁細胞および有毛細胞内Ca2+濃度の変化はEP, CMに強く反映され,蝸牛電気現象に対するCa2+の重要性が示唆された.(平成5年5月25日採用)
著者名
林 琢巳
19
2
103-116
DOI
10.11482/KMJ19(2)103-116.1993

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