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インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)における赤血球膜ナトリウム・リチウム対向輸送系の検討

インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)において,本態性高血圧の遺伝素因として注目されている赤血球膜ナトリウム・リチウム対向輸送系(sodium-lithium countertransport :NaLiCT)を測定し,腎症発症との関連を検討した.対象はNIDDM 60名(男性32名,女性28名)のDM群と正常コントロール50名(男性38名,女性12名)のN群である.DM群は尿中アルブミン・クレアチニン比が15 mg/g Cr 以上の蛋白尿を伴う32名(男性18名,女性14名)を糖尿病性腎症蛋白尿陽性群,伴わない28名(男性14名,女性14名)を蛋白尿陰性群とした.赤血球を分離,洗浄後,塩化リチウム溶液内でincubateし,赤血球内にリチウムを流入させ,再度洗浄後,ナトリウム含有及び非含有の両mediumに浮遊させ, Li efflux の差をNaLiCTとした.NaLiCTは,DM群がN群に比し有意に亢進していた(0.32±0.12 vs 0.21±0.09 mmol/liter cells/hr P<0.001). DM群のうち蛋白尿陽性群と陰性群の比較では,陽性群が有意に高値であった(0.37±0.14 vs 0.28±0.08 P<0.01).しかしDM群のうち高血圧の有無による比較では有意差を認めなかった(0.32±0.11 vs 0.32±0.13).NaLiCTは,本邦のNIDDMの腎症発症予知の指標に成り得ると思われた. NIDDMにおけるNaLiCTの亢進には高血圧素因以外の多彩な因子の関与も示唆された.(平成5年10月23日採用)
著者名
石松 隆子
19
4
311-318

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