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Online edition:ISSN 2758-089X

早期胃癌の発見が高率であったK町の胃集検

胃集検が胃癌の死亡率の低下に多大の貢献をしてきたことは周知の事実である.しかし,本邦では癌による死亡が死因の第一位であり,なかでも胃癌死亡数が癌死亡の約2割を占めており今後さらに胃集検の効率を高める必要があると考えられる.そこで,早期胃癌率が高率であった地域胃集検の成績をもとに,効果的な受診者を対象とした検診についての検討を行った.昭和59年度から平成2年度までの7年間の鴨方町胃集検受診者は10,405名で,発見胃癌22例(早期癌15例,進行癌6例,不明1例)で胃癌発見率0.21%,早期胃癌率68.2%であった.年齢別では胃癌発見率は60歳代で最も高く,40歳代の約10倍,50歳代の約4倍と高率であった.受診歴別では胃癌発見率は受診回数の少ない群ほど高く,早期胃癌率は逆に受診回数の多い群に高い傾向であった.したがって,胃集検の効率をさらに高めるためには,60歳代の受診拡大とともに,初回受診者のほりおこしが重要と考えられた.           (平成5年10月30日採用)
著者名
赤木 公成,他
19
4
393-398
DOI
10.11482/KMJ19(4)393-398.1993

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