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Online edition:ISSN 2758-089X

大量出血を来した十二指腸憩室の一例一十二指腸憩室のX線的統計をまじえてー

症例は75歳女性,下血で当科に入院となった.十二指腸造影で,十二指腸水平部内側にニッシェを伴う約6×6cm大の憩室が認められた.その他の消化管検査で出血源を疑う病変はなく,十二指腸憩室からの出血と診断された.憩室切除術が施行され,切除標本を組織学的検討したところ,憩室壁には筋層のある部分とない部分が混在しており,出血源と考えられるビランはその両者の境に多かった.これは,筋層の有無による壁運動のひずみが出血を引き起こしたことを推測させた.また,我々は当教室過去3年間, 1,881名の上部消化管造影検査における十二指腸憩室の頻度を調べ,男性8.5%,女性13.6%,全体平均10.7%という結果を得た.年齢別頻度では,男女ともに50歳代以上において,高齢になるに従いその頻度は増し,特に60歳代以上は著明な増加を示した. (平成5年10月23日採用)
著者名
細部 雅代,他
19
4
407-412
DOI
10.11482/KMJ19(4)407-412.1993

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