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Online edition:ISSN 2758-089X

膵頭部領域癌における血管造影診断の検討― Retrospectiveおよび組織学的検討-

膵頭十二指腸切除の行われた,膵頭部領域癌25症例について,摘出臓器動脈造影像と,術前血管造影の動脈像とを比較し,その動脈の組織像の検討も行った.摘出臓器動脈造影では,全例に所見が存在していた.術前に,それと同様の所見を読影できていたものは,25例中14例で,膵頭部癌が11例中8例(73%),下部胆管癌7例中3例(43%),乳頭部癌7例中3例(43%)であった.造影方法別では, superselective angiography施行が14例中9例, selective angiography施行が11例中5例であった. retrospectiveな見直しでは,25例中23例で,摘出臓器動脈造影像と同様の所見を読影することができた.手術例に摘出臓器動脈造影を行い,術前動脈造影像と比較することは,読影診断能の向上につながると思われた.また,より正確な進展度診断のためには, superselective angiography を行う努力が,必要と思われた.組織学的には,膵頭部癌では,全例に,腫瘍内動脈の内膜の著明な肥厚が存在し,下部胆管癌と乳頭部癌では,膵もしくは,胆管や十二指腸の壁外への浸潤部位でのみ,同様の変化が見られた.癌細胞の動脈壁への直接浸潤は見られなかった.(平成4年10月6日採用)
著者名
小牧 久和子
18
3
203-212
DOI
10.11482/KMJ18(3)203-212.1992.pdf

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