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鎌状赤血球貧血症におけるトロンボスポンジンの赤血球・内皮細胞粘着効果

鎌状赤血球貧血症にみる血流障害は赤血球と血管内皮細胞との間の異常な粘着性によるものであり,粘着蛋白である卜口冫ボスポンジン(TSP)がそれに大きく関与していることを明らかにする目的で鎌状赤血球貧血24人,網赤血球増多症8人,正常者24人からの赤血球を用いTSPの添加により粘着性がどう変化するかを赤血球・内皮細胞粘着試験法にて調べた.その結果,鎌状赤血球の粘着性はTSPの添加で高まり,この性質は抗TSP抗体,抗TSP receptor抗体,およびRGDS, CSVTCGのペプタイドにより明らかに抑制されることがわかった.また,自己多血小板血漿中では抗TSP抗体,抗TSP receptor抗体,抗ビトロネクチン(VN) receptor抗体およびRGDS, CSVTCGのペプタイドにより抑制された.さらに,比重分離によって得られた網赤血球による赤血球・内皮細胞粘着試験,免疫細胞学的検索,およびプラスチックプレート法による検索結果から鎌状赤血球貧血の網赤血球の膜表面にTSP receptorが存在することが示唆された,一方,非鎌状網赤血球増多症および正常の赤血球では内皮細胞への異常粘着性は明らかでなく, TSPによる粘着性への効果も認められず, TSP receptorの存在は証明できなかった.この研究の結果はTSPが鎌状赤血球の内皮細胞への粘着性に大きく関与することを示していると考えられた.今後さらにin vivoで検討し明らかにしていく必要がある.(平成4年10月29日採用)
著者名
杉原 佳子
18
4
279-288

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