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脊髄梗塞の1例

症例は66歳男性で,30本/ 日の喫煙歴がある.両肩にピリピリしたしびれ感が出現し,その後両上肢と左下肢の動きにくさが出現しその後急激に四肢の筋力が低下し歩行できなくなり,自力で呼吸もできなくなったため緊急入院.気管切開を施行し,人工呼吸器の使用を開始した.頸髄MRI にてC3-6レベルに異常信号域を認め,脊髄梗塞が疑われた. 四肢麻痺(左上下肢は不全麻痺,右上下肢は完全麻痺)を認めた.腱反射は左上下肢および右上肢で消失しており,病的反射はみられなかった.両上肢および臍部以下の温痛覚低下を認めたが,触覚や深部感覚は正常であった.頸髄MRI ではC3-6レベルにT2強調画像で高信号域を認めた.急性の発症であることや頸髄MRI 所見から脊髄梗塞と診断し,オザグレルナトリウム,エダラボン投与とリハビリテーションを開始し,呼吸状態は改善し人工呼吸器から離脱した.左上下肢および右下肢の筋力はやや改善を認めたが,自立歩行できない状態が残存した.右上肢は手指の動きが出てきたが,挙上はできない状態が残存した.脊髄梗塞は稀な疾患であり,その原因としては動脈硬化が多く,その他として大動脈解離,血管奇形,腫瘍塞栓,血管炎,手術や血管造影による医原性,椎間板ヘルニアなどがある.本例では明らかな大動脈解離がなく,血液検査で炎症所見が見られず,頸動脈超音波検査で両総頸動脈のIMT(内膜中膜複合体厚)肥厚を認め,頭部MRI で左椎骨動脈より右椎骨動脈の血管径が細く,頭部MRA の原画像で右椎骨動脈の血流信号が欠如していたことから,原因としては喫煙による動脈硬化が考えられた.急激に発症した四肢麻痺を見た場合には,脊髄梗塞の可能性があることも念頭に置き脊髄MRI を施行すべきと考える.doi:10.11482/KMJ-J40(2)103 (平成26年5月20日受理)
著者名
山田 治来,他
40
2
103-108

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