h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

ヒト血液細胞におけるProtein Kinase C活性の基礎的検討

Ca2+-リン脂質依存性protein kinase C 活性(PKC)をヒト血液細胞において測定した.細胞の種類によるPKC活性の差を検討するため,正常ヒト末梢血好中球及びリンパ球において測定し,総活性はそれぞれ, 187.3±97.9, 418.0±183.4 pmol/min/mg proteinであり,その99.6%, 94.7%を細胞質画分が占めていた.また,同系統の細胞においてその分化段階によるPKC活性の差を検討するため,慢性骨髄性白血病症例の末梢血白血病細胞をPercoll不連続勾配によって分画し,芽球層と,成熟好中球層のPKC活性を測定した.その結果,幼若な細胞が成熟細胞に比し,総活性は48.3±17.4%と低値を示し,膜画分比率は幼若な細胞では5.7%,成熟細胞では1.0%と幼若な細胞がより高値を示した.以上より,血液細胞であっても,その分化の方向によりPKC活性が異なり,また細胞の分化度によっても差異が認められた.                             (平成2年2月28日採用)
著者名
白戸 りさ
16
1
1-6
DOI
10.11482/KMJ-J16(1)1

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