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Online edition:ISSN 2758-089X

パイエル板上のMicrofold Cell (M細胞)によるStreptococcus Pyogenes並びにStreptococcus Preparation OK-432の取りこみに関する形態学的研究

従来より経口的に投与された溶連菌製剤OK-432が小腸やPeyer板近傍の腸管から吸収され, Peyer板リンパ濾胞,腸間膜リンパ節に出現し,消化管付属リンパ組織を介して生物学的修飾物質として生体の免疫能を賦活するという報告がなされている.しかしながら腸管のいかなる細胞から菌体が摂取されるかについての研究はなされていない.そこで,著者ぱウサギ小腸を用い, Streptococcus pyogenes A群su株, ATCC 2106, 溶連菌製剤OK-432の小腸内投与実験を行い,これら菌体が小腸のいかなる細胞から摂取されるかについて電顕的検索を行った.その結果,これら菌体は投与後1時間でPeyer板上のM細胞に付着し,5時間後にはM細胞の細胞質内に取りこまれ,またM細胞に相接し,内包されているマクロファージ,リンパ球の細胞質内に転送されている像を確認した.他のリンパ濾胞被蓋上皮細胞,絨毛吸収細胞,吸収上皮細胞間のリンパ球にはかかる像は認められなかった.生物学的反応修飾物質として経口投与される溶連菌製剤OK-432はM細胞より取りこまれ,リンパ球,マクロファージに転送されることを証明した.(昭和63年10月18日採用)
著者名
長崎 貞臣
15
1
13-22
DOI
10.11482/KMJ-J15(1)13

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