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Online edition:ISSN 2758-089X

人型結核菌体抽出多糖体成分の悪性黒色腫におけるcytotoxic effectとcollagenationによる増殖抑制に関する研究

悪性黒色腫細胞の移植腫瘍に対する人型結核菌(青山株)より抽出した菌体多糖体成分(SSM)の抗腫瘍性を検討した.大由来株G―361をathymic mouse (Balb/c nu-nu)へ,マウス由来株clone-M-3及びB-16はathymic mouse及びthymic mouse (Balb/c及びC57BL/6へ移植し, xenografts及びallogeneic graftsを作ってSSM 0.5~100μgを,隔日,皮下及び腫瘍内へ注射した.いずれの細胞も著明なtumor angiogenesisがみられるが,特にB-16は著明であった.X線解析で各細胞の(TAF)の一つとして知られているcopper (ceruloplasmin)を調べたが陰性であったathymic mouseに比し,正常マウスのthymic mouse でのcollagen産生はin vitro 及びin vivoでも著明で,後者の方がcollagenationとcicatrizationによる腫瘍の強い瘢痕化を示した. 高濃度SSM (50~100μg)は著明な間質反応を誘起し,collagenとしては,移植1ヵ月では腫瘍内では. IV type, 本来の間質ではⅢtypeが主体で,その他mast cell, macrophage, fibroblast の著明な増殖がみられた, B-16では好中球の走向がみられた.また,高濃度SSM (100~200μg)は悪性黒色腫に著明なcytotoxic effect を示した.したがって,高濃度SSMの腫瘍内注射では, cytocidal effect による広汎な壊死を増強し, collagenationの促進とともに腫瘍増殖の抑制がみられた悪性黒色腫細胞の移植実験では, athymic及びthymic mouseへの移植癌の間質反応の比較ができ,collagen増殖による腫瘍「封じ込め」には,正常な免疫基盤の重要性が示唆された.(平成元年2月10日採用)
著者名
木本 哲夫,他
15
2
217-241
DOI
10.11482/KMJ-J15(2)217

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