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両肺多発小結節影を呈し胸腔鏡下生検にて診断しえた大腸癌術後肺非結核性抗酸菌症の1例

 S 状結腸癌術後CT 検査にて両側多発肺結節・両側縦隔リンパ節腫大を認め,胸腔鏡下生検を行い,肺抗酸菌症と診断された1例を経験したので報告する.症例は,78歳,男性.肝転移を伴うS 状結腸癌イレウスにてS 状結腸切除・肝S4切除術後フォローアップ中,4年目に胸部CTにて両側多発肺結節・多発縦隔リンパ節腫大を認めた.FDG-PET 検査にて両側肺門および縦隔リンパ節にFDG の高度集積および肺結節影の一部に軽度の集積あり,サルコイドーシスもしくは多発肺転移・縦隔リンパ節転移が疑われた.気管支鏡検査を行ったが,細胞診は陰性で培養はα溶連菌が認められた.血液・生化学検査では異常を認めず,腫瘍マーカー・ACE は正常範囲内であった.喀痰の抗酸菌塗沫・培養検査は陰性であった.診断目的に胸腔鏡下に肺S4の一部と縦隔リンパ節生検を行い,病理組織学検査にて左肺組織の表面・胸膜直下,小葉隔壁内,細気管支周囲,血管周囲に多数の小結節を認め,結節中心部乾酪壊死,その周囲に類上皮型の組織球を認めた.さらにその周囲に線維性結合組織の増生や炭粉の沈着を認め,乾酪壊死巣内には抗酸菌がごく少数見られた.縦隔リンパ節にも硝子化巣と組織球の集簇巣や炭粉の沈着,線維化がみられ,線維化巣内に乾酪壊死巣が形成され,周囲に類上皮型組織球が配列していた.いずれも悪性所見はみられず,珪肺結節内に形成された抗酸菌感染による乾酪壊死性肉芽腫と診断した.QuantiFERON(QFT)陰性であり,肺非結核性抗酸菌症と診断した.抗結核薬投与を開始したが,副作用のため中止,現在経過観察中である.肺内に多発する小結節を認めた場合,胸腔鏡下生検は診断に有用であり,超音波凝固切開装置やバイポーラ型シザーズを用いることにより安全に施行可能と思われる.(平成23年10月12日受理)
著者名
繁光 薫,他
37
4
239-245

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