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成熟婦人正常および機能性不妊症例子宮内膜におけるプロゲステロンレセプターの免疫組織化学的研究

ホルマリン固定パラフィン切片で,モノクローナル抗体を用いたPAP法による免疫組織化学的検索により,成熟婦人正常子宮内膜15例および機能性不妊症例の分泌期中期子宮内膜25例のプロゲステロンレセプター(PR)を観察し,正常内膜と不妊症例内膜との比較検討を行い,以下の結果を得た.1)検索したすべての症例において,腺管上皮細胞の核,細胞質の両者またはそのいずれかに,また全例ではないが間質細胞にも3,3'-ジアミノベンチジン(DAB)の発色を認めた.これらの発色は陰性のコントロールでは観察されずPRと判定された.またDABの発色の強さは,同時に行った酵素免疫学的方法によるPR値との間に相関がみられた.2)成熟婦人正常内膜では,腺管上皮細胞の核内PRは増殖期に著明にみられ,細胞質内のものよりも強く発色していた.分泌期には核内PRは陰性化したが,細胞質内PRは増殖期PRに比して著明な変化は認められなかった.3)分泌期中期の不妊症例内膜におけるPRの発現の局在と強度は,腺管上皮細胞核内にも強陽性から弱陽性の発色が5例認められた.このことは機能性不妊症例内膜は分泌期にもかかわらず,成熟婦人正常内膜分泌期の所見よりも増殖期に偏位していると考えられた.上記の結果より正常内膜増殖期腺管上皮核内に陽性であったPRが血中プロゲステロンが高値である分泌期に陰性化することの機序,および機能性不妊症例分泌期内膜でのPRが正常内膜分泌期よりも増殖期内膜のPR所見に偏位していることと,不妊症内膜のなんらかの異常とが関連している可能性の2点は今後解明すべき課題と思われた.(平成元年11月8日採用)
著者名
藤原 道久
15
4
609-616

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