h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

寛骨臼蓋に嚢腫様骨透亮像を呈した2例

右股関節痛を主訴としX線像で寛骨臼蓋に嚢腫様骨透亮像を呈した2例を経験した.1例は病理組織診断から変形性股関節症に伴う嚢腫であった.もう1例は骨内ガングリオンであった.症例1: 47歳,女性.主訴は右股関節痛.X線上,軽度の臼蓋形成不全があり臼蓋外縁に直径1.5 cm大の周囲が骨硬化像で縁どられた骨透亮像を認めた.治療として掻爬骨移植及び臼蓋形成術を施行した.術後早期から変形性股関節症への進展を認めた.症例2: 44歳,女性.主訴は右股関節痛.X線上,臼蓋外縁に直径1.5 cm大の骨透亮像が認められ,掻爬骨移植術を施行した.術後経過は良好と思われた.これまでに報告された臼蓋に発生した骨内ガングリオンには明らかな臼蓋形成不全や変形性股関節症が認められた症例がある.骨内ガングリオンの発生機序が変形性関節症の嚢腫の発生機序と類似するとの考えもある.骨内ガングリオンと変形性股関節症の嚢腫の鑑別は,X線像で変形性関節症変化が軽度の場合には鑑別が困難であり病理組織所見・手術所見など総合的判断が必要と考えられたので報告した.(昭和62年9月22日採用)
著者名
森井 章司,他
14
1
136-141
DOI
10.11482/KMJ-J14(1)136

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