h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

マウス末梢神経発達における組織学的,形態計測的研究

マウス脊髄後根神経の発達過程を,組織学的観察と形態計量解析により検討した.0,20, 50, 90日齡の雄DSマウスを使用し,組織学的には,電子顕微鏡にて観察した.形態計量解析では,有髄神経線維について,1神経束における総有髄神経数,軸索の面積,周長,長径,短径と髄鞘層板の数を測定し統計学的に検討した.組織学的観察の結果,0日齡ですでに髄鞘形成は開始しており,50日齡で無髄神経,有髄神経両方とも成熟した形態を呈していた.形態計量解析の結果,総有髄神経線維数はO日から20日の間で急増した.有髄軸索の面積は,50日まで有意に増加を示した.髄鞘層板の数は,90日まで有意に増加を示した.軸索の面積と髄鞘層板の数の相関関係は, 20, 50日齡では単調増加,90日齡では成長曲線に類似したS字型の傾向を示した.以上より,90日齡では末梢神経の発育はほほ成熟段階に達していることが示唆された.また,軸索の面積と髄鞘層板の数の相関関係は末梢神経の発達過程を適切に評価する指標と思われる.(昭和63年7月4日採用)
著者名
伏見 滋子,他
14
4
530-538
DOI
10.11482/KMJ-J14(4)530

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