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核医学的手法による腎性骨異栄養症の骨病態の評価に関する研究

長期透析中(平均5.5年)の慢性腎不全患者160例について99mTc一標識リン酸化合物による骨シンチグラフィを施行し,全身骨へのRI集積の特徴からRODの病型分類を試み,正常に近い型(C型)のほか,骨への集積が相対的に低下し軟部組織への集積が亢進した型(A型),肋軟骨結合部への強い集積を示す骨軟化症型(D型),頭蓋骨や下顎骨への強い集積を示す副甲状腺機能亢進症型(F型)および異所性石灰化を呈するもの(G型)に分類された.血液生化学検査では、F型は血中アルカリフォスファターゼ(ALP)値の高値だけでなく,N端,C端,中間部アッセイのいずれにおいても血中副甲状腺ホルモン(PTH)の高値が観察された.D型では血中リン値の低値が特徴的であり,A型は血中ALP値および血中PTH値はともに低値を示した.全身骨へのRI集積の程度は,骨形成の指標であり,F型は骨代謝の亢進を,A型はその低下を示すものと考えられた.D型,F型およびA型の亜型であるB型の各1例に,腸骨生検を施行し得た.D型は類骨の増加を示す骨軟化症の像を示し,F型は高回転性の線維性骨炎の像を示し,B型では骨形成の指標であるテトラサイクリン沈着の全くみられないaplastic bone の像が得られた.いまだ少数例の検索ではあるが,組織像と骨シンチグラムとの対応の可能性が示唆された.骨シンチグラフィは,全身骨の骨代謝活性を知ることができ,さらにRI摂取比の算出により局所の骨代謝をも定量化し得る.そのため、RODのごとく,全身骨に不均等に病変の生じる疾患では,総合的な情報が入手できるものと思われた.これらの病型は繰り返しの検査を行うと比較的短期間に相互に移行し得るものであった.単一光子吸収法による橈骨の骨塩量測定と定量的CT法による腰椎海綿骨の骨塩定量の結果,皮質骨主体の橈骨では骨塩量の低下傾向が示された.一方,腰椎海綿骨量は透析期間の延長とともに低下するものから,むしろ増加するものまで幅広く分布し,皮質骨と海綿骨は異なる病変を呈するものと思われた.したがってRODのごとく,全身骨に不均等に生じる疾患では,骨脱灰の評価に皮質骨と海綿骨の両者の測定が必要と考えられた.(昭和63年9月26日採用)
著者名
大塚 信昭
14
4
624-644

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