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ラット嗅球神経回路における非GABA 系介在ニューロンのシナプス結合の微細構造解析

嗅球は比較的少数のニューロン種から構成される明瞭な層構造を持つ脳の領域である.投射ニューロンである僧帽細胞/ 房飾細胞は嗅球の表層の糸球体で匂い情報を受け,細胞体に至る過程で種々の介在ニューロンからの調整を受け,処理された情報を高次中枢へ投射する.情報入力部である糸球体には傍糸球体細胞(JG ニューロン)が多数分布しており,形態的および化学的性質からtype 1 JG ニューロンとtype 2 JG ニューロンの2種の介在ニューロン群に分類される.γ-アミノ酪酸免疫陽性ニューロン(GABA ニューロン)とcalbindin 免疫陽性ニューロン(CB ニューロン)およびcalretinin 免疫陽性ニューロン(CR ニューロン)はそれぞれのtype 1 JG ニューロンとtype 2 JG ニューロンの代表的なニューロン群である.これらのニューロンは対称性シナプスを形成し,抑制性に働くと考えられているが,神経回路内でシナプス形成するニューロンが異なることから,匂い情報の処理過程において異なる働きをしていることが考えられる.また,ラット嗅球のtype 2 JG ニューロンは抑制性の神経伝達物質であるGABA に免疫陰性を示すが,その伝達物質の詳細は不明である.そのため本研究では電子線トモグラフィーによりGABA 免疫陽性ニューロンとGABA 免疫陰性ニューロンが形成するシナプスの詳細な解析を行った.今回解析したシナプスでは,GABA ニューロンとCB ニューロンのシナプス間隙の大きさに有意差が認められ,GABA ニューロンとCB およびCR ニューロン間でシナプス小胞の大きさに有意差がみられた.また,CB ニューロンとCR ニューロンの間においても小胞に形態的な違いがみられた.以上の結果から,同じGABA 免疫陰性ニューロンでも含有する化学物質によってシナプスの形状が異なり,機能的特性が異なることが示唆された. doi:10.11482/KMJ-J41(2)103 (平成27年6月20日受理)
著者名
野津 英司,他
41
2
103-119

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