h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

癌の経気道的転移の可能性に関する検討

癌の経気道的転移の可能性の有無について剖検例を中心に検討した. 1974年1月から,1979年12月までの6年間にわたり川崎医科大学附属病院で剖検された固型性悪性腫瘍247例中肺のみに転移を認めた症例は16例のみであった.この16例の原発臓器は肺4例,肝臓5例,甲状腺2例,子宮,腎臓,下顎,舌,骨の各1例であった. 肝臓,子宮,腎臓,骨の各腫瘍は経気道的に肺へ転移する経路を有していないため除外した.肺,甲状腺,口腔領域の各腫瘍は経気道的に肺へ転移しうる可能性を有していたが,甲状腺癌は気管へ浸潤しておらず,また口腔領域の癌は両側肺に均等に散布された結節影ならびに病変であり,肺癌の1例も辺縁の明瞭な孤立結節であったため血行性転移したものと考えられた.残りの3例はいずれも細気管支肺胞癌であり経気道的に転移したものと考えられた.この3例について臨床的並びに病理学的検討を行い若干の考察を加えて報告した.
著者名
安達 倫文,他
10
1
53-61
DOI
10.11482/KMJ-J10(1)53

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