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Online edition:ISSN 2758-089X

当院における便潜血陽性者に対する大腸CT(CTコロノグラフィー)検査の有用性:大腸がん検診への導入と課題

大腸がん検診におけるスクリーニング検査としての大腸CT(CT colonography: CTC)検査の有用性を検討するために,当院における便潜血陽性者に対するCTC と大腸内視鏡検査の精度比較を行った.2009年7月から2014年1月までに川崎医科大学附属病院で施行されたCTC 検査673件中,スクリーニング目的で行われた411件の中で便潜血陽性者に対して行われた183名を対象とした.全例CTC 検査と同日に全大腸内視鏡検査も行った.対象とする病変は内視鏡観察あるいは病理組織学的に腺腫,がんと診断されたものとした.CTC の前処置は,経口腸管洗浄剤に水溶性造影剤による標識(タギング)を付けて行った.CT 装置は16列Multi-slice CT (MSCT),腸管拡張は自動炭酸ガス注入器を使用した.CTC 読影は,まず仮想内視鏡(3D)で行い,後に多断面再構成像(Multi-planar reconstruction: MPR 像(2D))を行う3D primary 法で行った.183名(男性98名,女性85名,年齢40~86歳,平均年齢62.1歳±0.8歳)のうち,病変を認めなかったのは87名(47.5%)であり,病変を認めたのは96名(53%)であった.総病変数は191個であり,うち6mm 以上の病変は77個(40%)で,そのうち10mm 以上のものは46個(24%)であった.大腸癌は25例(全病変中13%)で,うち腺腫内癌16例(全病変中8%)であった.側方発育型腫瘍は8例(4%)(大きさ平均17mm)であった.病変のうち,内視鏡的切除が行われたものは34病変であり,手術が行われたものは22病変であった.病変形態別による描出率は隆起型病変80% で,平坦型病変65% であった.病変サイズ別の精度は10mm 以上の病変(n=46)で感度96%,陽性適中率98%であり,6mm 以上の病変(n=77)で感度83%,陽性適中率79% であった.CTC は便潜血陽性者において良好な精度を示し,大腸がんスクリーニング法としての可能性がある.doi:10.11482/KMJ-J42(1)15 (平成27年12月24日受理)
著者名
大澤 元保,他
42
1
15-23
DOI
10.11482/KMJ-J42(1)15
掲載日
2016.2.29

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