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尿路感染症

1974年から1981年までに川崎医科大学附属病院泌尿器科と小児科で扱った尿路感染症 患者について統計的観察と臨床的検討を加え以下に述べる成績を得た. 1.膿球10/HPF以上,細菌尿104ml以上の2条件を満たす症例の割合は急性腎孟腎炎で5.9%,急性膀胱炎で77.7%であった. 残りの症例の多数は膿尿を認めるも,細菌尿はなかった.この成績は治癒期に来院したためと考えた. 2.尿路におけるブドウ糖非慢酵菌の病原性を臨床面より検討したが,菌数105/ml以上分離されても膿尿を約半数で伴わず,自然消失を認めた症例もあり,病原性は低いと考えられ,尿路より分離されても積極的化学療法は不要ではないかと思う. 3.尿路感染症の局所診断は,症状,基礎疾患の存在部位と種類より判定し,多数の症例で可能であるが,基礎疾患のない少数例では,局所診断不能であるが,かかる症例では単純性感染症で通常尿路感染症の治療に使用されている抗生物質を投与すればよく,患者に負担のかかる方法での局在診断は不要と考えられる. 4.尿路感染症の基礎疾患としてVURが高率にみられ,その検出率は小児例(23例)で44.4%,成人例(37例)で40.5%であった. 5.腎孟腎炎の診断で加療するも解熱しなかったリ,腎孟腎炎を繰り返す症例に対し排泄性尿路造影を実施し腎孟腎杯系に変化を認める症例に対し積極的に超音波検査 CT,腎動脈造影を行い,腎孟腎炎特殊型の診断に有意義であった. 6.腎孟腎炎の診断,経過観察,治癒判定のparameterとして発熱,膿尿,細菌尿,ESR, CRPと末梢白血球数を使い病態の把握に役立った, 7.発熱を主訴に入院し,発熱の原因が尿路性器感染症以外であった11症例を示した. 発熱を主訴に来院した患者では尿路性器感染症にとらわれることなく,発熱を伴うすべての疾患を考慮して検査をすすめる必要性を感じた.
著者名
天野 正道
8
4
358-369

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