h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

Screwless Cup 摺動部の接触面圧力の力学的解析

セメントレスTHA において安定したスクリューレスCup の初期固定を得るには,高い回旋開始時トルク値で初期固定力を確保し,高範囲かつ適切な接触領域の分布を示すことが重要と考える.これまでCup の接触面積がどの程度減少してしまうと,固定力に影響するか力学試験解析した報告は少ない.Cup 摺動部の接触領域を変化させ,実際のヒト寛骨臼の硬さを想定したボーンモデルを作製しフィンの有無が与える影響について力学試験を行った.Cup の辺縁全周が接触するように1mm のアンダーリーミングを行った後に,臼蓋形成不全による骨欠損の有無の影響を考慮し,Cup が臼蓋縁よりはみ出すように骨モデルを10°,20°,30°,40°の角度をつけてカットした骨欠損モデルと,術中の臼蓋に対し再リーミングを想定し1,2,3,6,9mm 偏心したモデルにおいて検討した.骨欠損モデルでは接触面積が10°:94.4%,20°:88.9%,30°:83.3%,40°:78.6%と小さくなり,偏心モデルにおいては1mm:60.4%,2mm:56.7%,3mm:56.2%,6mm:57.8%,9mm:60.4% と6mm 以上の偏心で接触面積は再増加した.最大トルク値では,フィン有りは0°:60.1N/m,10°:58.8N/m,20°:50.2N/m,30°:25.3N/m, 40°:17.4N/m.フィン無しは0°:46.2N/m,10°:40.4N/m,20°:23.5N/m,30°:13.9N/m,40°:7.4N/m であった.フィンの有無に関わらず30°で回旋トルクが著明に低下していた.力学試験においては30°以上において回旋トルク値が極端に低下した.偏心モデルでは2mm 以上で回旋トルクが極端に低下した.結論として,骨との接触面積が減少し,さらにはフィンの掛かりが減少したことが,回旋力低下の要因に大きく影響した. doi:10.11482/KMJ-J42(2)117 (平成28年7月28日受理)
著者名
河本 豊広,他
42
2
117-125
DOI
10.11482/KMJ-J42(2)117
掲載日
2016.10.5

b_download