h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

某医科大学における落下菌数の測定

川崎医大内で40カ所を選び一年間にわたり5回(または3回),落下菌数の測定をおこなった. 5回の測定を通しすべての場所の平均落下菌数は32.4 (個/平板培地/時間)であり,最小値は0,最大値は296であった. 5回の測定を通して落下菌数の多かった場所は玄関,エレベーターホール,病院待合ホールなどであり,いずれも多数の人の動きがある場所であった.これに対して落下菌数の少なかった場所は実験室や病室などいずれも人の動きの少ない場所であった.同一場所における落下菌数は測定時期によって大きく変動した.第2回測定(10月)における27カ所の平均落下菌数は91.9と非常に多く,次いで第1回測定(8月)の27カ所の平均落下菌数が35.2,第5回測定(5月)の39カ所の平均落下菌数32.0と第2回(10月)測定の約1/3であった.平均落下菌数が非常に低かったのは第4回測定(2月)の39カ所平均15.9と第3回測定(12月)の39カ所平均14.1であり最も多かった第2回測定の約1/6であった.この結果は室内における落下菌数の変動の原因が人の動きの多少を別にすると,季節による外気の落下菌数の変動と各季節における外気の室内への導入の度合に依存することを示唆している.落下菌数と同時に塵埃数とCO2濃度の測定をおこないそれぞれの関係が検討されたが有意な相関は認められなかった.落下菌の約3/4は細菌であり約1/4は真菌であった.さらにくわしい落下菌の性質については今後検討する予定である.
著者名
美禰 弘子, 他
7
3.4
183-190
DOI
10.11482/KMJ-J7(3.4)183

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