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Online edition:ISSN 2758-089X

塩酸服用による中毒死体の一剖検例

塩酸服用により自殺し3~4日経過したと思われる39歳の女性の剖検例を報告した.内景所見では胃後膜面における大鶏卵大の穿孔ならびに出血性壊死が最も著明であり,強酸性の液が胃内に約40ml,腹腔内に約50ml存在していた.組織学的には脾臓がとくに強いうっ血を呈しており,さらに胃では強い崩壊様の損傷が認められた.すなわち円柱上皮,粘膜下組織,粘膜筋板の崩壊が観察されたが十二指腸および腎臓,肝臓の一部は,死後の長期経過時間にもかかわらずかなり正常な形態を保っていた.これは,幽門部の痙縮ならびに塩酸の胃穿孔から腹腔内への流出に基づく酸固定による結果であろうと考えられた.以上のごとく,著者らが最近経験した1例について剖検所見を中心に組織学的所見について検討を加えた.
著者名
三上 芳雄, 他
7
3.4
257-256
DOI
10.11482/KMJ-J7(3.4)257

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