h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

Varicella-Zoster Virus (VZV)の増殖に関する研究 II・凍結融解に安定なVaricella-Zoster Virus (VZV)株の分離

無細胞ウイルス浮遊液で安定なvaricella-zoster virus (VZV)株を得るために凍結融解処理によって分離実験を行ない,次の結果を得た.1. VZV-M株の増殖したヒト胎児線維芽細胞を継代に際して凍結融解(-75℃, 2回)し,これを接種材料とした.この方法で連続8回植継ぎをくりかえし,凍結融解に安定なウイルス株を得た.そのウイルスの最高感染価は6×103FFU/mlであった.このウイルス(MFウイルス)は典型的な細胞変性,特徴的核内封入体の形態,蛍光抗体法によるテストおよび中和試験によってVZVであることが確認された.2.凍結融解に対してMFウイルスの感染性を安定化する因子が発見された.この因子はトリプシンに感受性で,感染細胞で産生され培地中に遊離されるものと思われる.以上の結果から凍結融解に対してVZVが安定であるためには2つの条件,ウイルス自体の安定性(MFウイルス株)および培地中の因子が必要なことが判明した.
著者名
別所 敞子
6
3
81-90
DOI
10.11482/KMJ-J6(3)81

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