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Online edition:ISSN 2758-089X

人間ドック入院患者から見つかった異常ヘモグロビン-Hb Senohzaki-の一例

川崎医科大学附属病院の公衆衛生科(人間ドック)に身体検査のため入院していた50歳の男性が等電点分画法によってHbA, HbJとHbNに相当する位置に移動する3つの明瞭なヘモグロビン帯をもつことが発見された.異常ヘモグロビンの含量はそれぞれ13.2%および33.1%であった.患者から得た溶血液のグロビン鎖分離試験ではただβ鎖異常のみを示した.故に我々はこの異常ヘモグロビンをHb Senohzaki と呼び,低含量の異常ヘモグロビンをHb Senohzaki-1,他方をHb Senohzaki-2 と命名した.網赤血中で合成されたヘモグロビンやグロビンの分析結果から, Hb Senohzaki-1 は生体内で何らかの反応(酵素的反応等)によってHb Senohzaki-2に変えられ, Hb Providence Asnが生体内で脱アミノ化によりHb Providence Asp に変換するのと同様な現象を示すことが示唆された.Hb Senohzaki の一次構造解析や酸素親和性の測定が今後大変興味ある.
著者名
原野 恵子, 他
5
3.4
178-185
DOI
10.11482/KMJ-J5(3.4)178

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